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IMPROVE-IT

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【リサーチクエスチョン】

シンバスタチンにエゼジミブを加えることでACS患者のイベントがシンバスタチン単独に比べていいか?

 

【方法】

@ 試験デザイン

randomized, double blind, placebo-controlled. 2005-2010年の間米国、カナダほか39か国の1147施設で18,144名の患者で行われました。9077名がシンバスタチン単独群、9067名がシンバスタチン 40mg+エゼチマイブ 10mg群に分けられました。50歳以上のACS患者で発症後10日以内が対象。きちんとシンバスタチンを服用できる患者が対象。

1)シンバスタチン単独群;40mg

2)シンバスタチン 40mg+エゼチマイブ 10mg

の2群に分け、4週間後、4か月後 f/uする。

 

ただこのデザインはTIMI group, CDRI groupとメルクが考案したものです。生データの管理 はTIMI groupがおこなし、スポンサのメルクが確認、承認するといった役回りになっています。

 

@ 患者

50歳以上の急性冠症候群で発症後10日以内の患者さん。LDL値 >50 mg/dL、もしくは治療中であれば125 mg/dL以上であること。

 

◼️ exclusion criteria

バイパス術予定患者、腎障害(Ccr <30)、simvastatin 80mg以上すでに服用している。

 

【研究プロトコール

1:1にランダム化し、30日後、4か月後、以後4か月ごとに電話連絡等用いて追跡していきます。採血を1, 4, 8, 12か月の時点で行い数値次第でsimvastatinの投与量を最大80mgにまで増量します。追跡は最低でも2.5年で、目標設定した人数である5250名を目指します。ただし、追跡期間中、プロトコールは5回に渡って設定人数も含め修正されました。

 

【アウトカム】

@ いわゆるMACE; major advanced cardiovascular eventという複合アウトカムです。死亡、脳梗塞心筋梗塞、ここまでハードアウトカム。あとは入院を必要とする、もしくは血行再建術を必要とする不安定狭心症とあります。

 【結果】

◼️ 患者背景です。まず目につくのは体重です。なのでかはわかりませんが20%も既往に心筋梗塞がありますが、アスピリン服用率は40%程度です。当然一次予防には効果が立証されてはいませんが、冠動脈硬化症があれば二次予防としては立証されていますから、非常にACSを起こしやすい集団といえますね。そして60%強がNSTEMI かUAP。

◼️ アウトカム

@ イベント;シンバスタチン単独群;34.7% vs シンバスタチン 40mg+エゼチマイブ 10mg;32.7%となり有意にシンバスタチン 40mg+エゼチマイブ 10mgがイベント抑制しました。

ただハードエンドポイントだけでみると 死亡、脳卒中、致死性心筋梗塞では差がありませんでした。

【私見】

著者に大御所が多すぎです。なんででしょう?いくらNew england journalとはいえブラウンワールドさんが出てくる必要はもうないですよね。彼が載りたいというよりは彼が出てきたから話が通ったような感覚すらあります。それと研究進行中に5回もプロトコールを修正し、挙句目標サンプル数が5,000だったのが最終だと9,000余にまで増やしています。数を増やせば有意差はでますね。なんかやっとこさ有意差をだした感じが否めません。にもかかわらずhard endpointでは、有意差が出ないんですから、少なくともsimvastatinに対するezetimibeの上乗せ効果はないですね。でも最後の図ではおきまりのthe lower, the better。だったら最初から十分のstrong statinを使っていればそれでいいのでは、と思います。ではどうしてこのコンビネーションで検討したのでしょう?試験開始時期にはすでにアトルバスタチンの効能が周知されていた時代です。つまりはパテントのきれたシンバスタチンをエゼチマイブの合剤で売り出したいのでしょうか?ENPHANCE studyでポシャった合剤のリバイバルをねらっているんでしょうか。もしくはPCK9阻害剤を売りたいからthe lower, the betterの再強調なのでしょうか?ストロングスタチンたっぷりと、といった前回のガイドラインはもともと悪くないです。十分量ストロングスタチンの効果を示した論文は多数あり、だからこそ前回のガイドラインが作成されたわけです。にもかかわらずわずか数年で書き換える、ということは、それもfire and forgetなんて揶揄してまで終わらせるということはなんか商業的な思惑が見え隠れしてしまう最近の米国の医療。はっきりいって斜陽です。