FFR vs IVUS retropspective single center study, 2010年JACC interventionsから。
著者所属名にはソウルとカリフォルニアの施設名がありますが、著者は全員韓国人です。Methodのところにどこの患者が記載がありません。単施設、後ろ向き解析のように感じます。
【Research Question】
IVUS > 4mm2カットオフ値は予後良好であることから確立した数値として広く受け入れられています。またIVUS < 4mm2カットオフ値はFFR < 0.75カットオフ値相当と報告がありますが、それぞれを比較した研究はなく、またIVUSのカットオフ値を4mm2と規定していいか、もっと少なくてもいいのかが不明です。
【方法】
過去2年間IVUS or FFRが施行された連続症例を後ろ向きに解析しています。最終、FFR; 83人、IVUS; 94人がそれぞれ該当しました。Inclusion criteriaは以下のとおりです。
1)single vessel disease。
2)血管径 > 2.5mm。
3)QCA 40-70%狭窄。
4)負荷心電図等、非侵襲的検査で虚血が証明されていない事。
【患者背景】
【統計解析】
Endpoint; 1年後のMACEとし、内容はTVR, TLR, Deathです。解析法としては後ろ向き解析のため特別な方法はとられていません。カイ二乗検定で比較し1年後のMACEをカプランマイヤー法で解析しています。
【結果】
MACE発生率は3%あまりと非常に少ないものでした。しかしPCI施行率はIVUS群で9割あまり施行され、FFR群と比較すると3倍多いです。もともと造影して有意狭窄だな、とQCAマターでの感覚がそのまま反映されている、と考えていいんでしょう。
DiscussionではIVUS < 3.0mm2カットオフ値にするとPCI施行率はほぼ同じ42.6%となりMACEも同様、差がない結果とあります。著者はおそらく2.5mm2 あたりが妥当なのではないかと推測していますが、サンプル数を先行研究から算出して検討し直さないといけないと記載されています。
【私見】
IVUSのover estimateなツールという結果にはなっています。後ろ向き検討とはいえ、患者背景には差がないところから、信頼性は低くないように思います。ただIVUS, FFPいずれを選択するか、医師の裁量によることから病変に対するIVUS or FFRの選択に偏りが生じます。またFFR vs IVUSという割には同一患者に両方のモダリティを用いていないため比較にも無理があると感じます。