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AF burdenを追加した心房細動患者の塞栓症予測能

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【研究の背景】

心房細動に対して脳塞栓症を含めた全身塞栓症は絶対に発生をさけたい事象です。リスクスコアとしてCHADS2 scoreとCHA2DS2-VASc scoreがありますが、先行性、簡便性から前者が汎用されていると思います。一方で慢性、発作性と心房細動はその表現型からわかれます。これまで発作性でも脳梗塞のリスクは同じと言われていましたが最近はやはり慢性心房細動のほうが塞栓症のリスクは高いというデータが散見されます。ただ発作性でも年に数回と月に数回、それに持続時間で差があることも一方では予想されることで、それを表現する方法として今回変数として用いられるAF burden、心房細動の累積時間があります。

 

【リサーチクエスチョン】

心房細動患者においてCHADS2 scoreとCHA2DS2-VASc scoreにAF burdenを加えると塞栓症予後はより精度があがるか?

 

【方法】

@ 試験デザイン

後ろ向き研究;1年分

 

@ 対象

1) DDD pacemaker植え込み患者 568名(平均年齢 70 +/- 10)。

2) 既往に発作性心房細動や頻脈性不整脈をもつ。

 

@ 方法

1) CHADS2 score, CHA2DS2-VASc scoreおよびAF burden(下図はその例)を計測する。

2) AF burdenの程度で3グループにわける。AF-free) AF burden 5分未満、AF-5min) AF burden 5分以上24時間未満、AF-24h) AF burden 24時間以上。

3) 感度、特異度、AUCを算出し比較。

 

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◼️ exclusion criteria

記載なし。

【アウトカム】

脳梗塞TIA、末梢動脈閉塞症。

 

 【結果】

 患者背景。1年間のイベント発生は14人にみられました。ただアスピリン、抗凝固療法を受けた患者率は以下のとおりです。

 

1)アスピリン単独

non-AF; 30%, AF-5min; 23%, AF-24hr; 18% 

2)抗凝固療法単独

non-AF; 19%, AF-5min; 22%, AF-24hr; 42% 

3)アスピリンと抗凝固療法のコンビネーション

non-AF;6%, AF-5min; 1.7%, AF-24hr; 4% 

 

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 あまり抗凝固療法の服用率は高くないようなコホートと考えてよさそうです。そういったことを踏まえて下記が本論文のメインリザルトになります。

 

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 CHA2DS2-VASc scoreがあれば、と言い方が適切でしょう、脳塞栓症を100%予見するということです。換言すれば0点であれば100%起こらないといえます。一方1点であれば特異度は7%程度しか、3点であっても34%程度しかないといえます。ここにAF-burdenを加えるとAUCは0.898 → 0.910に改善します。

 

【私見】

本研究のようなリスクスコアの仕事は、変数が増えれば予測度が高まる確率は必然性をもってあがります。ましてや後ろ向き研究であれば導き出せるでしょう。前向き研究での確認は必要です。そこを踏まえた上でですが、やはりCHA2DS2-VASc scoreをもとに抗凝固療法を選択すべきと感じます。ペースメーカ患者でなければAF burdenは確認できませんが、なくてもAUC 0.898, ほとんど0.9である予測能は秀逸です。

 

代償が脳梗塞であること、DOACの副作用はワルファリンよりも減ったことから、そのように考えます。留意すべき点としては日本人患者には特に降圧管理であることはいうまでもありません。