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ヘパリンブリッジ

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【リサーチクエスチョン】

心房細動を基礎疾患にもつ患者に対する手術でヘパリンブリッジを必要とするか?

 

【方法】

@ 試験デザイン

randomized, double blind, placebo-controlled. 2009-2014年の間米国、カナダの108施設で1884名の患者で行われました。

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@ 患者

  1. 18歳以上の心房細動(発作性・持続性問わず)で少なくとも3ヶ月以上ワルファリン投与を行われて、INR 2.0-3.0でコントロールされている。
  2. CHADS2 score > 1

 

◼️ exclusion criteria

機械弁、脳梗塞、全身性血栓塞栓症、TIA (12週以内)、大出血 (6週以内), CCr < 30 mL/min, 血小板数 10万以下、心臓・脳・脊椎いずれかの手術

 

【研究プロトコール

30日前から5日前まで;患者スクリーニング

5日前;ランダム化し、ヘパリンブリッジ群はワルファリン服用中止とし3日前からdalteparin 投与を開始 (100 IU/kg 皮下注、1日2回)します。手術前日にINRを測定し1.8以上であればビタミンKで中和、再開は術当日の夕方か翌日にします。dalteparinは小手術であれば12-24時間後から、大手術であれば48-72時間後に再開しINR >2.0で中止します。30日間追跡しております。

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【定義】

◼️ 大出血

まず、症候性であり臨床的に明らかであることを基本とします。非症候性、例えばCTで偶然発見された後腹膜出血などは該当しません。同様に術中、出血し仮に輸血を2単位以上必要とするような場合やヘモグロビン 2 g/dL以上低下しても該当しません。

1)輸血を2単位以上必要とする

2)ヘモグロビン 2 g/dL以上低下

3)頭蓋内、脊椎内、眼窩内、後腹膜、心囊、コンパートメント症候群をきたすような筋肉内出血

4)致死性出血

 

【アウトカム】

@ イベントアウトカム

動脈性塞栓症の有無を30日後の時点で評価します。先行研究からヘパリンブリッジ群で 全身性動脈塞栓症を起こす確率を1%と見積もり効果判定を非劣性 0.025(一側性)、信頼区間は95%とします。

@ 安全性アウトカム

やはり30日以内の大出血の頻度とします。帰無仮説はやはりヘパリンブリッジ群 3.0%, プラセボ群 1.0%程度の発生すると仮定した場合、いずれの群にも有意差がない、です。有意確率を0.05 (二側性)とします。

 

非劣性試験において、検出力 80%で全身性動脈塞栓症の発症を1%、非劣性マージン1%としp<0.025(一側性)と仮定し必要サンプル数を計算すると1641人となり、10%脱落を見込んだうえで最終1813人、必要と算出されました。およそ850人エントリーしてみるとおよそ全身性動脈閉塞症は0.5%程度しか発生しないことがわかったため90%の検出力にあげ歳計算すると1882人が必要サンプル数となりました。

 

【結果】

平均年齢71.7歳で男性が73.4%占めました。平均体重は95.8kg (!)です。平均CHADS2 score: 2.3で38.3%は3点以上でした。34.7%はアスピリンを服用していて7.2%は他の抗血小板製剤を服用しておりました。

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◼️ 対象手術

消化管; 44%、胸部; 17.2%、整形; 9.2%・89.4%が出血率の低い手術に該当。

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◼️ アウトカム

@ イベント;ヘパリンブリッッジ群; 0.3%、プラセボ群; 0.4%⇨有意差なし

@ 安全性;ヘパリンブリッッジ群; 3.2%、プラセボ群; 1.3%⇨プラセボ群がよかった。

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ただし致死性出血は1例も確認されなかった。

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【私見】

結果はおそらくそうなんだろうなあ、と思う内容でもありますが、エントリーしている患者の平均体重はどういうことなんだろう、と思います。こんだけあったら症候性の出血ってどうなるんでしょうかね。少々でても平気そうな・・・・。