iFRとFFR; ADISE studyから。
Am Heart J 2014;168:739-48
iFRの理念を打ち出したJustin DaviesをPIとした多国籍の方々によって検討された論文です。
【Reseach Question】
医師によってiFR, FFRの同時測定をする中で
1)FFRのカットオフ値0.8がiFRでどの程度の数値になるかを評価すること。
2)虚血のカットオフ値 0.75以下がiFRではいくつか?
虚血閾値を良好な特異度を持って表すFFR値はあくまで0.75である。しかしDESの成績を鑑みてFFR 0.80まで治療対象とする、ということ。短く分岐血管がなければ0.77でもPCIしてもよいし、一方長く分岐血管もあり症状がなければしないほうがいい。
3)iFR-FFR hybrid strategeのカットオフ値は0.86-0.93でよいか?
の3点を実際診療の現場に立つ医師のその場の判断で対応できるか?をあげています。これまでiFRは検査終了後後解析、すなわちoff line解析でしかできなかったためより実戦的な立場での検証ということが重要なポイントとしてあげられました。
【Method】
ヨーロッパ、アジア、アフリカの16施設、313人の患者から392の”中等度狭窄⇨医師がPCIを迷う”病変を対象に 測定しています。
@ 冠動脈に硝酸薬を0.3-0.6mg i.c.したのちiFRを施行します。
FFR時のhyperemiaにはアデノシンを使用しています。
1)CV-lineより;39%, 140-180 ug/kg/min
2)iv-lineより;61%, 60ug (中間値量)
冠動脈造影検査上の狭窄度はQCAで評価します。
@ iFR & FFR測定の際の準備・確認事項
Calibrationはとても重要です。
Figure 1 & 2: Amplitudeと時相を合わせるまでNormalizationを行うことが重要です。
@統計処理
2 x 2 formから感度・特異度。ROC解析で一致度を示しています。
【Result】
EAPが73%を占めます。責任血管はLADが最も多く66%です。LCxは支配領域がLADに比べ少ないことから、たとえ造影上狭窄が厳しく有意にあると思えてもFFR < 0.80にならないことがあります。その観点でLCxが少ないことは科学的にバイアスを減らす良い患者サンプル背景ではないかと考えます。
すでにエビデンスの確立されているFFRをもとに、それが有意狭窄を正しく判定できるとした上で、iFRの診断効率の確からしさをROC解析で表現している図です(Figure 4)。本来ならばFFRとiFRの相関を回帰式で求めR2でその関連性を示すほうが理想的な統計解析と思います。
FFR 0.8とiFR 0.90の一致する診断効率はAUC 0.87と表現されます。同様に0.75はiFRでは 0.85に、0.75-0.80は0.85にiFRでは相当します。そのAUCはそれぞれ0.90であり、0.93ということになります。つまりiFR 0.85以下は少なくともFAME studyでPCIすべき、という指標と同等であることが相当な確率(AUC 0.93)でいえる、と解釈されます。
以上から下記表が現在の臨床で用いられております。すなわち0.85以下ではFFR未施行でPCIを決定する、としております。治療すべきは非常に高い確率であっている、といえます。一方Differすべき、はiFR 0.90以上ではまだFFRとの不一致は少なからずあるため、FFRを施行すべきではないかと考えます。それがiFR 0.93以上になってもFFRとも相同性はあまりあがりません。メーカーが推奨する0.93以上で(FFR未施行で)DIFFERは少しこころもとありません。
【個人的見解】
@ iFR ;0.86以下であればFFR施行することなく、PCIすべき。
@ iFR; 0.90以上であればFFR施行すべき。
@ iFR 0.96以上であればFFR施行することなく、DIFFER。