Drug coating balloonのPROBE試験結果 Lancetから。

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                                                                Lancet 2013; 381: 461–67

 

 

ドイツのグループからの報告です。

 

【Research Questions】

         DES留置後の再狭窄病変に対して、DES再度留置、DCB対応、もしくはPOBA    のいずれがよいか。

 

【研究デザイン】

        PROBE法を用いてます。デバイスの選択は術者・患者ともわかります。blindnessは保たれません。しかしf/u restudyを画像解析するものには使用したデバイスがわからない、とあります。ただ実際画像をよくみてしまうとDES留置とballoonのみの違いは明確にわかります。ただDCBとPOBAはわかりません。しかし画像解析者が本当にblindnessが保たれたか、ということには保障なく記載もありません。

 

【方法】

PECO

Patients;リムス系DESを留置された18歳以上の患者で虚血の症状を有するか、虚血が証明されていて、かつCAGで50%以上の再狭窄病変を有することがわかっていることがエントリー条件です。一方除外項目はACSや腎障害 (eGFR <30),CABG後やLMT病変の患者です。DESに対するDCBの非劣性を証明するために、35%の狭窄血管系になることを目標に、非劣性マージンを7%に、α 0.05, 検出力 80%に設定し95%信頼区間のもと算出すると102人一グループあたりの人数を必要するという計算になりました。一方POBAとは優性試験として行っております。α 0,025 (two-way)で検出力90%として計算すると101名と算出されました。

Exporsure; Drug corting balloon

Comparison; Drug eluting stent, POBA

Endpoint; 6ヶ月後再造影し評価をQCAで行います。

 

@ 妥当か?

治療デバイスに基づいて分類された患者背景をみますとほぼ均等な人数で、詳細項目にも大きな差はありません。再狭窄病変をMehran分類を用いて解析していますが、過去の報告内容と同様で、かつ群間差もなくランダマイズ化はきちんとなされていると判断できます。【研究デザイン】でも書いたようなPROBE法特有の問題は残ります。

【結果】

@患者背景

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再狭窄の分類にはMehran分類を用いることが一般的で形態的に4つのタイプに分類します。

Type I; Focal type less than 10 mm以内:BMS; 42%

A; stentとstentの間。

B; edge

C; in stent

D; 複数

Type II - IV; 10 mm以上

II; in stent; BMS;21%

III; ステントを超えて広がる: BMS; 48%

IV; occlusion: BMS;7%

 

ただこれがDESになるとfocal lesion restenosisが最も多いこととやはりMehranらが報告しております。

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再狭窄率はDCB, DESではそれぞれ27%, 24%です。DESの再狭窄率はDES後再狭窄であれば、妥当な数字かと思います。

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DCBの半年後再造影検査結果から得られたQCAはDESの非劣性が、POBAに対しては優勢が証明されたという結論になります。