偽膜性腸炎の診断

院内で抗菌薬の管理業務もしていますので、感染症診療にも興味をもって診療しております。院内感染の問題としても注目される偽膜性腸炎; clostridium defficile infectionの簡易・迅速診断法として便中白血球の有用性を調べております。

 

その観点でJAMAのSystematic reviewがあったので読んでみました。

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                                                                                           JAMA 2015; 313 (4) 398-408

 

方法;46年間の論文から4500あまりの論文を抽出して行ったsystematic reviews. 特に細菌の10年に関してはガイドライン上の診断方法に準拠してレビューしている。そこから116論文を検討した。

 

@診断法;

基本的に無症状でcolonizationしているケースと有症状のケースを区別することはできない、ということが大前提(2010年のガイドラインにも明記(Cohen SH, et al.  Infect Control Hosp Epidemiol. 2010;31(5):431-455)されており24時間以内に3回以上の下痢の存在があったうえで

  • 画像上イレウスかtoxic megacolonの所見
  • トキシン陽性;24-48時間培養して行う。3pgのトキシンを検出する感度は94-100%、特異度は99%をほこる。検査を繰り返しても感度は改善しない。
  • Colon Fによる偽膜の確認のいずれかをもって行う。

 

Gold standardとしては24-48時間培養して抗原をEIA法で同定するかr-PCRを用いて増幅して48時間培養しcytotoxicity assay (CCA)で同定する。

しかし実際には時間を要するためにトキシンチェックで済ましている。

通常はCDが生成するgltamate dehydrogenase (GDH)をEIAで同定するが、毒性のある、なしのCDを区別することができない(46%はnontoxigenic CD)。そのためトキシンチェックと合わせて検査を行う必要がある。

 

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以上をもってFigure 2のようなアルゴリズムに準拠して診断を行う(感度;91%、特異度98%、NPV; 99%)。

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当院ではトキシンチェックに加えglutamate dehydrogenaseに対する抗原を調べ始めております。しかしGDH陽性でトキシン陰性のケースはPCRを行うというラインにはのっておらず主治医判断として対処しています。GDH法は24-48時間かかるため迅速に便中白血球のグラム染色がどの程度影響しているか、2015年の日本内科学会で研究の成果の一部をご紹介することになっております。